こんにちは、べんすけです!
キューバを旅する喜びは、耳から入る音楽と、喉を潤す一杯の飲み物が完璧に調和した瞬間にあります。 かつて新婚旅行でこの地を訪れた際、私が最も心を揺さぶられたのは、ハバナの熱気の中で飲んだ冷たいダイキリの味でした。以来、あの味が忘れられず、再訪を夢見る原動力の一つとなっています。
あなたがキューバの地を踏んだ時、どのタイミングで何を飲むべきか。ソンの調べを100倍贅沢にする「至高のドリンク」たちを、歴史や楽しみ方とともに詳しく解説します。
1. ハバナが誇る二大カクテルの王道
ハバナの街を語る上で、文豪アーネスト・ヘミングウェイを抜きにすることはできません。彼が愛し、世界中に広めた二つのカクテルは、今もハバナの夜の主役です。
1-1. モヒート(Mojito)——「ボデギータ・デル・メディオ」の誘惑
「我がモヒートはボデギータで」というヘミングウェイの言葉で知られる、キューバを象徴するカクテルです。
- 楽しみ方: 5月のハバナは日差しが強く、湿気も高い時期。そんな時、グラスの中で贅沢に潰されたミントの香りと、ライムの酸味、そして砂糖の甘みが溶け合ったモヒートは、最高の「清涼剤」になります。
- ソンの調べと共に: 旧市街の小さなバーで、ギターの音色を聴きながら飲むモヒートは格別です。ミントの葉をストローでつつきながら、リズムに合わせて少しずつ味わうのがキューバ流です。
1-2. ダイキリ(Daiquirí)——「フロリディータ」の極致
「我がダイキリはフロリディータで」。ヘミングウェイが毎日のように通ったバー「フロリディータ」のダイキリは、フローズンタイプが主流です。
- 楽しみ方: 暑さで火照った身体に、シャリシャリとした細かい氷の食感が心地よい一杯。ラム酒の力強さとライムの清涼感が、口の中で一気に弾けます。
- 贅沢な瞬間: カウンターの片隅で、プロのバーテンダーがシェイカーを振る音をバックに、ソン・モンツーノの盛り上がりを待つ。これ以上の贅沢はありません。
2. ソンの聖地で味わう、最高級の「琥珀色」
ハバナから東へ。ソンの発祥の地であるサンティアゴ・デ・クーバへ辿り着いたなら、ぜひ試していただきたいのが、この土地が誇る「最高級のラム酒」です。
2-1. ラム酒「サンティアゴ・デ・クーバ(Santiago de Cuba)」
キューバのラムといえば「ハバナ・クラブ」が有名ですが、現地を愛する人々が「これこそが最高峰」と口を揃えるのが、この銘柄です。
- 味わいの特徴: サトウキビの濃厚な甘みがありながら、後味は驚くほどスムーズ。特に12年熟成以上のものは、まるで高級なブランデーのような深みがあります。
- 聖地での体験: 「カサ・デ・ラ・トローバ」で本場のソンの熱狂に包まれながら、このラムをストレート(ア・ラ・ロカ)でちびちびとやる。氷が溶けるごとに変わる香りを楽しみながら、トレスの弦の音に耳を傾ける時間は、まさに人生の宝物です。
3. 5月の恵み!アルコールが苦手な方への絶品ドリンク
お酒が飲めない方、あるいは午後の暑い盛りでも楽しめる「ノンアルコール」の選択肢も、キューバは非常に豊かです。
3-1. 旬の「マンゴージュース(Jugo de Mango)」
5月のキューバを訪れる最大のメリットの一つが、マンゴーが旬を迎えていることです。
- 驚きの濃厚さ: キューバのマンゴージュースは、私たちが日本で飲むものとは別物です。まるで果実そのものを飲んでいるかのような、ドロリとした濃厚な甘みと香り。
- パッキングの裏技: 前回のパッキング術でも触れましたが、市場で買った完熟マンゴーを、宿(カサ)の人に頼んでミキサーにかけてもらうのも最高の方法です。これ一杯で、旅の疲れが吹き飛びます。
3-2. グアラポ(Guarapo)——絞りたてのサトウキビジュース
街角のスタンドで、大きな機械にサトウキビを差し込んで絞っている光景を目にするでしょう。それがグアラポです。
- 自然のエネルギー源: たっぷりの氷(現地での氷の使用には注意が必要ですが、信頼できる店を選んで)を入れて飲むグアラポは、素朴で優しい甘さ。農民たちが愛した「プント・グアヒーロ」を聴きながら飲むと、キューバの原風景が目に浮かぶようです。
4. 知っておきたい「飲み方の作法」と注意点
キューバで楽しく、安全に飲むための小さなルールがあります。
- 水には細心の注意を: カクテルに使われる氷は、基本的に「浄水」で作られていますが、お腹が弱い方は「Sin hielo(シン・イエロ/氷なし)」で頼むのも一つの手です。
- チップの文化: バーで素晴らしい演奏に出会ったら、飲み物代とは別に、ミュージシャンの帽子やバスケットに少しのチップ(紙幣)を入れましょう。その一回のアクションが、あなたと現地の距離を一気に縮めます。
- ラム酒の「シェア」: 地元の人と意気投合してラムのボトルを回し飲むような場面があったら、それは彼らの信頼の証。無理をする必要はありませんが、少しだけ口をつけることで、一気に「アミーゴ(友人)」になれるはずです。
5. 最後に:あの日、ハバナで感じた風をもう一度
新婚旅行で初めてキューバを訪れた時、私はただ、その場の空気に圧倒されていました。鳴り響くサルサのリズム、道端で笑い合う人々。その傍らには、いつも誰かの手にグラスがありました。
「なぜ、この国の人はこんなに幸せそうなんだろう?」
その答えの一つが、音楽と飲み物の完璧なマリアージュにあると気づいたのは、しばらく経ってからのことでした。僕はいつもあのハバナの夜に飲んだカクテルの味が、ソンやサルサの音色と共に蘇ります。
あなたがキューバの夜、最初の一杯を手にしたとき。その瞬間に、あなたの旅は「本当の意味」を持ち始めるはずです。最高の一杯、最高の一曲。それを探しに、一緒に行きませんか?


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