こんにちは、べんすけです!
「キューバ音楽といえばサルサでしょ?」僕が初めてキューバを訪れた時もそう思っていました。街のレストランやバーで流れる陽気なリズム、それに合わせて情熱的に踊る人々。「これぞサルサだ!」と、その熱狂に身を任せていたものです。
しかし、あとから調べていくうちに、一つの事実に突き当たりました。私たちが「サルサ」だと思って聴いていた音楽のすぐ隣には、その「親」にあたる「ソン(Son)」という音楽が存在していたのです。
今回は、当時の私が知らなかった「ソンとサルサの違い」を、初心者の方にも分かりやすく徹底解説します。これを知れば、5月の音楽祭での聞こえ方が180度変わります。
1. 結論:ソンは「親」、サルサは「都会育ちの子供」
一番分かりやすい違いは、その成り立ちです。
1-1. ソンはキューバの「魂」
ソンは19世紀末、キューバ東部の農村地帯で生まれました。スペインのギターとアフリカの太鼓が混ざり合った、いわばキューバの「伝統芸能」です。非常に素朴で、温かみがあり、どこか懐かしいメロディが特徴です。
1-2. サルサはニューヨーク生まれの「ミックス文化」
意外かもしれませんが、「サルサ」という言葉が定着したのは1960年代後半のニューヨークです。キューバのソンをベースに、プエルトリコの音楽やジャズなどが混ざり合い、都会的で派手なサウンドに進化しました。 つまり、「ソンのエッセンスを都会風にアレンジして、世界中に広まったのがサルサ」と言えます。
2. 聴き分けのコツ:ここをチェックすれば一発!
ライブを観ている時、「これはソン?それともサルサ?」と迷ったら、以下の3つのポイントをチェックしてみてください。
2-1. 楽器の編成(派手か、素朴か)
- ソン: ギターや「トレス」という小ぶりの弦楽器、そしてウッドベース、ボンゴ、歌、といった少人数編成が基本です。耳に優しく、アコースティックな響きが強いのがソンです。
- サルサ: トロンボーンやトランペットなどの「ホーンセクション」がバリバリと鳴り響き、ピアノが華やかなフレーズを弾きます。音が分厚く、パワフルなのがサルサです。
2-2. リズムの「間」
- ソン: サルサに比べるとテンポが少しゆったりしており、リズムに独特の「溜め」や「余白」があります。お年寄りでも心地よく踊れるスピード感です。
- サルサ: テンポが速く、非常にエネルギッシュ。複雑なパーカッションが重なり合い、ノンストップで踊らせるような疾走感があります。
2-3. 歌詞の内容
- ソン: 故郷への愛、日常の些細な出来事、愛する人への想いなど、素朴で詩的な内容が多いです。
- サルサ: 都会の厳しさ、社会風刺、より激しい愛の告白など、テーマが多岐にわたります。
3. キューバで聞いた「サルサ」だと思っていた音楽は?
ハバナの街角で聴いたあの熱い音楽。確かにそれはサルサだったかもしれません。しかし今思えば、その根底には間違いなくソンのリズムが流れていました。
キューバの人にとって、ソンは「空気」のようなものです。わざわざ「今からソンをやるぞ」と言わなくても、彼らが楽器を持てば、自然とソンのビートが刻まれます。 私が当時知らずに楽しんでいたあの心地よい揺れは、伝統的なソンが現代のサルサへと受け継がれていく、その「命の繋がり」そのものだったのです。
4.5月、サンティアゴ・デ・クーバで「親」に会う
2026年、私は17年前には行けなかった「ソンの聖地」サンティアゴ・デ・クーバを目指します。 なぜなら、そこにはサルサへと進化する前の、最もピュアで、最も濃厚な「ソン」が今も息づいているからです。
5月に開催される「国際ソン音楽祭」は、いわば「親戚一同が集まる大宴会」のようなもの。
- ハバナ: 都会的で洗練されたサルサのステージ。
- サンティアゴ: ソンの伝統を守り続ける、土の匂いがするような演奏。
この両方を体験することで、私の、そしてあなたのキューバ音楽への理解は完成します。
5. 最後に:ジャンルなんて分からなくても、心は動く
ここまで違いを解説してきましたが、正直に言えば、現地で音楽を聴く時に「これはソン、これはサルサ」と分析する必要はありません。
大切なのは、僕がそうだったように、聴こえてきた音に素直に身体を預けることです。ただ、もしあなたが「この心地よいリズムの正体は何だろう?」とふと思った時、この記事を思い出してください。
「あぁ、これがサルサの親父?(お母さんでもいいか・・)、ソンなんだな」
そう知っているだけで、目の前のミュージシャンとの距離が、ほんの少し縮まるはずです。あなたももし5月のキューバに行ったら、ぜひサンティアゴ・デ・クーバの「国際ソン音楽祭」に行ってみてはいかがでしょうか?
本物のソンの音色に包まれる瞬間を、味わってみてください。


コメント